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悲しい失恋が自分の気持ちに従って生きる自由を教えてくれた

悲しい失恋が自分の気持ちに従って生きる自由を教えてくれた

カフェで一人コーヒーを飲みながらぼんやりしていると、すぐ真後ろの席で、若い女の子の声がとぎれとぎれに聞こえてきた。

「…そんな男、別れて正解だよ。…を振るなんて許せない…」

それとしゃくりあげているような声。
聞くともないしに聞いていると、どうやら後ろの席の子が彼氏に振られて、それを女友達が慰めているらしかった。

何だかそのままそこにいるのがいたたまれなくて、残ったコーヒーを飲み干して席を立つ。

若い女の子が、人目があるのに嗚咽するなんて、多分余程ショックだったのだろうと思う。

昔、その子と同じくらいの年頃に、付き合っていた人に振られて、同じように泣いたことがふと思い出された。

学生時代に付き合っていた人で、就職して遠距離恋愛になった。2人とも忙しくて中々会えない日々がしばらく続いた。久しぶりに会ってもどこかよそよそしい。彼の環境が変わったからだと思い込もうとしたけど不安は拭えなかった。

それから少し経って、別れ話と、他に好きな人ができたことを告げられた。優しかった彼の突然の変貌。
「絶対別れない!」「あの言葉は全部嘘だったの?」
泣いて責めたりなじったりしたが、結局元には戻らなかった。子供だったから彼にはずいぶん迷惑を掛けた。

どこにでもある、ありふれた失恋話。
だけど、とても好きな人だったから、本当に独りになったとき、身体の一部をもぎ取られたような哀しみがあった。あると思っていた世界が崩れて、身を捩って泣いた。

ずっと一緒にいようねと、約束を交わしてもそれが嘘に変わる日があるということを初めて知った。好きだった人を泣かせても、違う道を選ぶ自由があることを知った。

そのときはその意味がわからなくて、ただただ彼を恨んだ。

何年かして、自分が前の彼と同じ立場に立った。
彼の後に好きになった人と何年間か付き合っていたが、別れたいと思うようになっていた。

前の彼のように他に好きな人ができたわけでも、嫌いなったわけでもなかったが、恋愛感情は失われていた。
望んでいないのに、気持ちが変わってしまうことがある。ずっと永遠が続けばいいと願っていたはずなのに、それが叶わないことがある。
ずっと好きでいたいのに気持ちをとどめられない。自分の気持ちなのに、ままならない。

耐え難い罪悪感に苛まれた。自分さえ我慢して何事もなかったように恋人関係を続けた方がいいんじゃないか、そんな抗いがたい誘惑に襲われる。

そのときやっと、私を振った彼も辛かったことに初めて思い至った。私を泣かせたかったわけじゃない。
事実を告げただけなのだ。
罪悪感に負けそうになりながら、「もう好きではない」という事実を告げてくれたのだ。多分、変わってしまった自分の気持ちに傷つきながら。

彼が教えてくれた「自由」が自分を照らす。

もう好きではないのに好きなふりをして、嘘をつきながら付き合って、それで相手が幸せになるなんて思うのは、ただの思い上がりにすぎないと思う。
自分さえ我慢すれば、自分さえ犠牲になればという考え方は、一見相手のことを思いやっているように見えて、実は悪者になりたくないという自己本位の考え方が隠れている。

恋人のポジションに留まることで、実は相手の未来の幸せを壊している。別れれば、相手はもっと好きになってくれる人と巡り会うかもしれない。

相手を一時泣かせても事実に従って生きる勇気が、結局は相手の為にもなるし、自分の為にもなる。
心を偽って生きていくことはできない。

そして、私も当時つきあっていた人に別れを告げた。

「泣かないで。あなたも自由を得たんだよ」
カフェで泣いている彼女に対して、そんなことを思う。

カフェの彼女は、「ほしいのは彼で、そんな自由なんてほしくない」と言うかもしれない。私もそうだった。
でもどうにもならないこともある。そしてそれが勇気になる日もある。

恋愛至上主義の時代は、そんな風に好きか好きじゃないかだけで、別れる別れないかが決まる苦しい時期だ。
今、私はそういう時期を生きていない。

恋愛が優先事項の第一番に来ることはなくなった。恋愛が最優先でなければ、別の選択肢も出てくる。

あの頃に戻りたいとは思わないけれど、ただ純粋で混じりけなしに恋愛に向き合っていた時期を懐かしくも思う。




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